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創造と反省の自作スピーカー
FE83Eの小型バスレフ型スピーカー



[発想]
今回は小型のバスレフ型の箱を作りました。手間隙のかかるバックロードも良いけど、バスレフも一度は作ってみようと思いました。

そして、前回購入したラワン合板が穴だらけ(積層部の崩れ)だったので、良質な板材を使ってみたいと思いました


[設計]
卓上に置く事を前提としていたので、FOSTEX製の8cmフルレンジの「FE83E(現在はFE83Enにモデルチェンジ)」を使用します。

本体サイズ (高)240mm×(幅)124mm×(奥)190mm

箱内部容量 3 L
ダクト断面積 10 cm^2 (40mm×25mm)
ダクト長さ 11.5cm
ダクト共振周波数 85Hz(計算上)

この箱設計には、webページ「自作スピーカー設計プログラム」のお世話になりました。


[工作]
今回は、木工作業は全て「MAKIZOUクラフトマンシップグループ」さんにお願いしました。
MAKIZOUさんの方では、デッサンイメージのようなものでも板カットをしてくださるので、以下のような簡単な絵で板カット発注をさせてもらいました。





こんな絵で木材カットを引き受けてくださった、MAKIZOUさんに感謝感激です m(__)m


内部には仕切り(図中の赤色部)があり定在波防止を狙っています。

MAKIZOUさんの木材カット精度は素晴らしく、難なく組み上げることができました。組み上げ方は前作と同じく「木工用ボンド+本による重し」で、地味に組み立てました。


吸音材は、図内の「青部分」にフェルトや手芸用綿を適量入れることで調整しました。

[試聴]



まずは、卓上に置いてのニアフィールドリスニング試聴です。左右のスピーカー距離は60cm程でしょうか。
8cmフルレンジなので、顔からの距離が50cm程度しかない状態でも、非常にスムーズな音を聴かせます。
FE83Eは中高域の再生音に独特な「彩」を持っていますが、スーパーシナアピトンで作製した本機はそれを見事に引き出すことができました。
FE83Eの軽量振動板のお陰か、各種楽器の粒立ちや存在感も見事ですね。

高級な木材は今回が使うのは初めてでしたが、ユニットのグレードが1ランク上がったように聴こえます。「通常は平坦で地味な楽器やボーカルが、その固有の音色を素直に表出し豊かに歌いだす」といった感じでしょうか。「美音」を狙うのであれば、板材の選択は非常に重要なファクターになると思います。

今回はバスレフ型の箱なので、バックロードホーン型より吸音材を多用します。
しかし、多用しすぎると音に生気が無くなったり低音が出なくなるので、程よい塩梅を見つける作業が続きました。
特に、ボーカル曲を二〜三曲聞き比べながら吸音材を増減すると良いと思います。


低音はダクトから上手く出ている感じで、近接試聴であれば60Hz程度まで聴こえます。オーケストラや各種音楽もバランスよく聴くことが出来ました。

f特を簡易的に測定したところ、次のような感じでした。

(測定方法が怪しいので詳しくは言えませんが)
低音は90Hzまで出ており、そこからダラ下がりになっています。



(写真下部の二台が本作)
前作と比べると、コンパクトになりました。卓上システムとしての完成度は高いと思います。


[後日談]

ニアフィールド試聴では好結果だったのですが、1m以上離れて聴く通常の試聴ではナローレンジに感じてしまいました。特に、低音域の欠如が目立つ感じです。
FE83Eは推奨バスレフ箱容量が5.5L〜6Lと取説に記載されているように、もっと大きなバスレフ箱で鳴らすのが良いのかもしれません。

そして、高音域も不足に感じるのです。
最近分かってきたのですが、FE83Eは非常に振動板が薄く、箱内部の定在波や不要な共鳴音がダダ漏れになるようです。これが高域不足(具体的には、音が詰まる・聴いていて疲れる など)の原因となるようです。
これを解消するためにも、やはり非並行面を多用したエンクロージュアの設計は不可欠なようです。

本システムはこの状態でしばらくサブシステムとして重宝するのですが、後日ユニットを変更する事になります。その話はまた後で。




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