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創造と反省の自作スピーカー
FE168EΣの
バックロードホーン型スピーカー作製と塗装


[発想]
FE126Eを使ったバックロード箱でしたが、共鳴音が強いのが難点でした。しかし、頑張って作ったバックロードホーンだけあって、簡単に作り直すこともできませんでした。

ユニットに対してホーンが大きいと、共鳴音が出やすい…ということを長岡氏の書籍で読んだので、逆にユニットを大きく(12→16cm口径)すればこのホーン鳴きを抑えることができるのでは?と考えました。
16cmにすれば、それだけ高音不足になります。そこで、スーパーツイーターとしてFOSTEXのFT7RPを組み合わせました。より安価なFT17Hも検討しましたが、試聴の結果やはり高音域の質は全帯域の質を決めるので、繊細な表現力を持つFT7RPにしました。T90AというホーンツイーターでもFE168EΣには適合するかもしれません。

さらに高級木材を使うことで、高級ユニットに相応しいサウンドを目指します。

[設計]
本体サイズ (高)900mm×(幅)230mm×(奥)420mm

空気室容量 約3 L
スロート断面積 約80 cm^2 (20cm×4cm)
振動板比 70%
ホーン長さ 約2.4m
ホーン開口面積 約440cm (20cm×22cm)
スロート比5.5倍

基本はユニットだけの変更なので、設計に変更はありません。
ただ、空気室下のデッドスペースを開拓して、空気室容量を増加させたのが違いとなっています。

完成目標としては、このようになります。


赤が「スーパーシナアピトン合板」を追加する部分です。
ユニット周辺以外にも、共振しやすいであろうホーン開口部周辺や背面にも板を追加しました。

そして今回は、塗装もやってみようと思います。
塗装は表面を硬化・平滑化させる作用があり、音質にも大きな意味があります。
ネットで調べたところ、ワシンペイントの「油性 ウレタンニス」が硬度が高く音質に良いそう。早速、試してみました。

[工作]
まずは、破壊作業からです。当時、ジグソーは持っていなかったので手ノコで頑張ります!
16cmユニットに対応するために、新バッフルを装着します。




フロントバッフルの大半を除去しました。3枚目の写真にあるように、空気室下のデッドスペースを開拓することで、空気室容量を広げ16cmユニットに適合させます。

新たな木材のカットは、マキゾウクラフトさんにお任せしたので、後は貼り付けるだけです。
そして、完成!



[工作](塗装編)
まずは、塗料と薄め液。知らずに「カシュー」用の高級な薄め液を買ってしまいましたが、汎用(油性用)の薄め液ならOKです。


まずは、塗装前にヤスリがけ(200番〜400番)をして、表面を整えます。

塗装は、塗装面を地面と平行にするのが失敗を防ぐコツです。
「油性ウレタンニス」単体では粘度が高すぎるので、適度に「うすめ液」で薄めます。
薄めるコツとしては「ソースと醤油の間の粘度」といった所でしょうか。


一度塗ったら、乾くまで待ちます。ちょっと長め(4時間以上?)待つのがコツです。
最低でも2回重ね塗りするのが基本なので、今回は3回塗り(一部4回塗り)としました。
重ね塗りをする場合は、最初の塗装面をやや目の細かい紙ヤスリ(400番〜600番)で整えてから再度塗装をします。塗装回数を重ねるごとに、より細かいヤスリ(600番以上)を使う事でツヤツヤな表面とすることができます。

4回塗りでこの輝き。さらに回数を重ねれば鏡面に近くなります。

今回使用した油性ウレタンニスは270mL入りのを買いましたが、ちょうど片チャンネルで一本+αを使うぐらいでした。1回目は塗料を木材が吸い込むので沢山必要ですが、何回か塗り重ねていくとそれほど塗料を消耗せずに重ね塗りができるようになる感じでした。


[試聴]

本格的な試聴の前に、ツイーター「FOSTEX FT7RP」と組み合わせます。
コンデンサ容量を1μF〜0.1μFまで検討したところ、0.68μFでちょうど上手くつながりました。

音は、さすが高級ユニットのバックロードホーン!といえる音でした。
お得意の炸裂するサウンドも奏でられますが、むしろ繊細な音も見事に聴かせてくれました。これはスーパーツイーターや高級板材のお陰ですね。

低音も豊かに鳴るように。ただ、ユニットが良くなったのでそのお陰というのが大半な気がします。 スピーカーの設置台を強固な物にすることで、さらに良質な低音域が出てくるなど、(低音域に限らず)「使いこなし」にも答えてくれる優秀な作品となりました。

周波数特性・インピーダンスを測ったところ、こんな感じ。簡易的な測定なので、参考程度に。
[周波数特性]

[インピーダンス特性]


[後日談]
長い間リファレンスとして使っている本機ですが、いくつか不満点もありました。
特に、空気室を拡張したと言ってもFE126E用の奥行きや形状のままであり、16cm口径のユニットに対しては窮屈なようです。単純な直方体という形状も、高域の濁りを助長しているようでした。
そして、オーディオマニアというのは「more」を望んでしまう性があるようで、低域に関しても「もっと量感を」「もっと迫力を」「もっと深みを」を考えるようになってきました。

さらなる音を求めて、新たな16cmバックロードを作る・・・かもしれません。




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