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創造と反省の自作スピーカー
FE126Eの
大型ブックシェルフ、バックロードホーン型スピーカー


[発想]
前回の箱キット「BK10」は、小型なバックロードホーンとして楽しい音を聴かせてくれましたが、低音の再生という点は今一歩でした。
スピーカー設計シミュレーションとして有名な「自作スピーカー設計プログラム」を弄っていると、どうやらホーン長が足りていないのでは?と思うようになりました。BK10は1m程度のホーン長しかなく、100Hz以下の重低音域を再生するのは難しく、優れた重低音域の再生には2m〜3mの長さのホーン長が必要であることも分かってきました。

しかし、ホーン長が2m以上となるとエンクロージュア体積が大きくなり、当時家具の上にスピーカーを乗せていた私にとって困った問題となりました。トールボーイ型の箱なら良いのですが、ブックシェルフ型で必要なホーン長を確保するには工夫した音道の取り回しが必要となってきます。

ちなみに、この頃からブログ「趣味の小部屋」を立ち上げているので、参考になる写真が多くて助かりました。

[設計]
本体サイズ (高)900mm×(幅)230mm×(奥)420mm

空気室容量 2.4 L
スロート断面積 約80 cm^2 (20cm×4cm)
ホーン長さ 約2.4m
ホーン開口面積 約440cm (20cm×22cm)

ちなみに、高さは天井高に合わせて90cmになるようになっています。外寸を生活空間に合わせられるのは自作スピーカーの利点ですね。

そして、ちょっとしたギミックをいくつか。
(1)上下反転可能!
ユニットがほぼ本体中央についているので、上下を反転させることで低域量感のコンコントロールが可能と考えました。
(2)前面スピーカーターミナル
スピーカーターミナルを前面(ユニット付近)に持ってくることで、内部配線を短くすると共に、スピーカーケーブルの脱着を容易にしました。このポイントは大成功。後のカノン5D作品では大半が前面ターミナルになりました。デザインを無視したオーディオマニア的発想ですね。

そんな事から、内部音道は以下のような取り回しになっています。



そして、ホーンの広がり方はこんな感じ。



[工作]
前回のスピーカー作りで知った「東急ハンズ」に板購入→板カットの全てを依頼。
当時のハンズ価格だと、15mm厚のラワン合板が5000円前後だったはず。左右ペアで3×6合板を3枚使う設計なので、板カット賃を含めると2万円をオーバーしていたのかもしれません。当時「やけに高いなぁorz」と思った記憶だけはありますw
板は発送をお願いして、数日後に大量の板が届きました。大型BHならではの物量投入です♪

初めてのオリジナル設計なのですが、特に設計・板カットミスはなし。一安心です。

板材確認のための仮組みをした状態

仮組みを済ませ、木工用ボンドで一つづつ貼り付けていきます。空気室下など、空洞が出来る部分には脱脂綿を軽く詰めることにしました。

空間部には脱脂綿を軽く充填。それ以外は吸音材なし。

しかし、完成間近になって問題が二つ。
まず、思った以上に板が「反っている」のです。小型スピーカーなら気にならなかったのですが、大型スピーカーだと大きな問題になってくるのですね。普通はハタガネなど木工工具で押さえつけるのですが、そんな物はありません(笑) 本で押さえてはいましたが、1mm前後の隙間ができてしまいました。(後日談:ハタガネが無くても、テープを貼って押さえれば大丈夫そう!?)
そして、重量。15mm厚の3×6(サブロク)合板は一枚12kg程度あり、一本あたり1.5枚使う計算なのでざっと20kg弱。しかもブックシェルフなので、高さ70cm程度の家具の上へ「えいやっ」と持ち上げる必要がありました。完成当初はその重さに四苦八苦しましたね。


本を重ねるも、奮闘むなしく・・・


[試聴]
期待を込めて音だし!
出てきました。低音です。
前作の短い音道(1m)の低音とは全く異なる音です。よく聴けば50Hz前後まで出ているようです。
また、バッフルが広いのにも関わらず、音場も広大でした。空気室が広めなのが効いているのでしょうか。
しかし、200〜300Hzに「ホーホー」いう巨大なピークがありました。どうやらホーンが上手く動作していないようです。さらに、低音はある程度伸びるのですが、もっと量感が欲しいところです。


設置した状態。スタンドと合わせると高さ170cmで、圧倒的な存在感!


[後日談]
結局、中低域の「ホーホー」と、低音不足は解消できず、長い間苦戦することになりました。
ホーンの公式を知らずに設計したために、音道が100cmまで非常に狭く、そこから急激に開いているのがこの原因と思われます。キレイに広げる事ができれば、上手く動作したかもしれません。

と、この原因に気づいたのはごく最近の事です。 当時は、16cmユニットへ交換して、一挙逆転を狙おうと考えました。FE168EΣ+FT-7RPとシナアピトンバッフルという超豪華な組み合わせは、また次の話で。




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