トップページ >>初心者の自作スピーカー講座 目次 >>第28回

初心者の自作スピーカー講座
第28回
スピーカー箱の組み立て

 〜必要な道具〜

<<[第27回]へ戻る [第29回]へ進む>>

ここでは、スピーカー製作全般に渡って、どのような『道具』が必要か考えてみます。
自作スピーカー初心者にとっての必要度順に、
★★★:必須、★★:あると良い、★:無くても良い、(無印):単語だけ知っておけばOK 
と表しますが、これといった決まりはないので、自分にとって必要な物を整理してみてください。

○設計段階
○定規 ★★★
キレイな設計図を描くには必須ですね。小学校で使うようなもので十分です。
「定規(コクヨ)」

○方眼用紙 ★
設計図を方眼紙に描く事で、サイズを直感的に理解できるようになります。
私が使っているのはコクヨの方眼紙です。
「上質方眼紙A4 1mm目ブルー刷り50枚とじ」
近所の文房具店で買えると思いますが、もし無ければ
「Free Online Graph Paper / Plain」
から、必要なサイズのPDFデータをダウンロード(無料)して印刷するのが良いでしょう。
サイズ設定は
PDF Document Size:A4(21×29.7cm)
Minimum Border:1 [cm](単位の部分を「inches」から「cm」へ変更します。)
Grid Line Weight:0.50
Accent:(チェックしない、そのままで可)
Grid Spacing:1[lines per cm](これも「lines per inch」から「lines per cm」へ変更。)
Grid Color:Light Blue(これも、そのままで可)
あとは、Download PDFを押し、自分のPCに保存・印刷すればOKです。

○5mメジャー ★★
設置する場所の寸法を測ったり、完成サイズを確認するのに便利です。
安価な物で問題ありませんが、2mだと部屋の寸法を測る時に不足感を覚えるかもしれません。

○箱の製作段階
○木工用 紙やすり ★★★
ペラペラの「やすり」で100円程度で購入できます。これには様々な「荒さ」があり、「○○番」として表記されます。
スピーカー作りで使うのは、
番数用途
80〜180番 木材の荒れた断面を、バリバリと削り落とすのに重宝します。
最も荒くよく削れるのですが、さすがにテーパー加工は無理で、それには専門の電動工具が必要です。
200番〜400番 板の表面を整えるのに使います。
完成後や塗装前に活躍する荒さですね。
600番〜1000番 塗装を塗り重ねる前に、塗装面を平滑にするときに使います。
1000番以上 特殊なやすりです。鏡面仕上げを目指すときは、これを使います。
とりあえず、80〜180番、200番〜400番が一枚ずつあればOKでしょう。

○軍手 ★★★
木材をカットすると、断面は荒れてトゲが刺さりやすい状態となります。
また、やすり を使う時は軍手をしないと手まで・・・

○木工用ボンド ★★★
コニシ株式会社の木工用ボンド。つまり普通の木工ボンドですが、スピーカー制作でも問題ない性能です。
小型スピーカー製作では180g入り(400円ぐらい)、大型スピーカー製作では500g入り(600円ぐらい)ぐらいの量が、それぞれ必要となると思います。
「コニシ株式会社 製品情報」
ご存知のように、これらは容易にホームセンターで入手可能で、かつ家庭(換気の良い屋内)での使用が可能です。
ちなみに、「速乾」「標準」のどちらでも良いようですが、適度な時間で硬化する「速乾」をオススメします。

○タイトボンド(Tite bond) ★
「木工用ボンド」より硬く接着でき、よりハイレベルなSP工作を目指す方に愛用されています。値段は260g:約700円、520g:約1000円で、東急ハンズなどで購入できます。
ただ、やや使い難さもあるようで、初心者は無難に「木工用ボンド」を使う事をオススメします。
「<接着剤/水性木工接着剤>」

○濡れた雑巾 ★★
木材表面についた細かな埃を拭き取るのに使います。
接着面から はみ出たボンドを拭き取るのにも使います。美しい仕上がりを求める場合には必須アイテムです。ティッシュ(濡らさない)で代用してもOKです。

○彫刻刀 ★
はみ出たボンドを削り落としたり、木ネジ穴の処理、と多目的に利用できて便利なので、私は愛用しているのですが、他の方も使っているとは余り聞きません。
「彫刻刀 - 学校教材の通信販売」

○ハタガネ・F字クランプ・ラチェットバークランプ ★
木材接着時は、圧力を加えて圧着するのが理想です。そのため、『万力』のような仕組みを持つ『ハタガネ』で両側から挟んでやるのです。サイズは長ければ色々な用途で使えるのですが、値段が高くなるのと使い勝手が悪くなるので、スピーカーのサイズ(主に横幅)に合ったものを選ぶと良いかもしれません。
「大工道具のハタガネコーナー」
このページでは、ハタガネの種類や、作業中の写真があるので参考になると思います。
ちなみに、「F字クランプ」はハタガネより短く太い本体で、挟める長さは15cm〜30cmが主流となりますが、スピーカー工作には十分な長さでしょう。(ちなみにハタガネは100cm近い長さの物まで存在)
そして「ラチェットバークランプ」はF字クランプの操作性を大幅向上させたものです。本体の大部分は樹脂製で、サイズの割りに安価・軽量なのですが、圧着力は弱めです。圧着前の借り止めに重宝するので、2本程持っておくと便利です。

と、木工には必須の「ハタガネ」なのですが、1000円〜2000円/一本、と高価で、初心者が使うとかえって板ズレといった失敗の原因にもなりかねないので、私はオススメしません。

○重い物(本、2Lペットボトル、その他)★★★
ハタガネは初心者に難しいので、お勧めしませんでした。でも、木材接着時は、圧力を加えて圧着するのが基本です。
よって、接着する場所の上に大量の本や重い物を乗せて、重量を加えます。
何十kg載せても、ハタガネの圧着力には匹敵しませんが、手軽で確実な方法です。
詳しくは次ページで説明します。

○錘(重金属の塊)
鉛等の重金属の塊を、圧着時に利用する方も多くいるようです。ただ、「持っているから使う」のであって「圧着のために買う」のは微妙かもしれません。。。

○余り板 ★★
合板から必要な板を切り出すと、必ず余りが出ます。この余り板は、意外と多目的に使えるもので、捨てずに必ずもらっておきましょう。

○塗料・刷毛(ハケ)
塗装を考えている場合は、塗料も必要ですね。『ウレタン油性ニス(和信ペイント)』が安価で音質的にも優れ、仕上がりも良好なようです。
表示してある「塗り面積(塗れる面積)」を参考に適量を 購入するとよいでしょう。
ちなみに、『油性ニス』は乾燥時に異臭(塗装臭)を放つので、それを避けたければ『水性ウレタンニス』を選ぶのですが、高価でありながら音質的には油性ニスに敵わないとか…

○爪つきナット(鬼目ナット)
ユニットを頑強に取り付けるために使用するナットです。使用すれば音質的なメリットもあると思いますが、別に使用しなくても問題ないので、初心者は「そういうのもあるんだ〜」という程度で良いと思います。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
「鉄 爪付きナット (ミリネジ)(オチアイ製)」爪つきナットの拡大画像
「爪つきナットの取り付け方〜究極の自作 スピーカー追求道」
「オニメナットの取り付け方〜究極の自作 スピーカー追求道」

○箱完成後
○ドライバー ★★★
ユニットを取り付ける際に必須ですね。長く使えるものなので、国産の良質なものを選ぶ事をオススメします。
私が使っているのは、タミヤの「プラスドライバー」
「プラスドライバー L」
「プラスドライバー M」
この二本があれば、自作スピーカーでは十分です。安価でありながら、丈夫なドライバー先で、柄も握りやすく、さすが模型のタミヤだなぁと納得の製品です。
もちろん、既にお持ちの物で全く問題ないのですが、粗悪なドライバーはネジを壊す可能性を高めてしまうので、良質な物を使います。

○半田ごて等 ★★★
内部配線とユニット、ターミナルを接合するのに使います。初めて半田にトライする方には『太陽電気産業株式会社 家庭用はんだごてセット SR-80 (約2000円)』
をオススメします。このSRシリーズは、23W〜59Wまで幅広い用途を想定したラインナップが組まれていますが、低消費電力タイプは電子工作(ICとかトランジスタとか)用で、スピーカー製作では高いこて先温度で作業した方がやりやすいはずです。
ちなみに、私は一時30Wタイプを使っていましたが作業性に満足できず、57Wタイプに買い換えました。
この「家庭用はんだこてセット」には、はんだこて台が付属していますが、
「はんだこて台 ST-11」
を使うと、より作業が安全・快適になります。

○彫刻刀 ★
先ほど紹介しましたが、完成後に、ユニット装着で使用した(通常ユニット付属の)木ネジにより、盛り上がる部分を削り落とすのに便利です。


<<[第27回]へ戻る [第29回]へ進む>>

トップページ >>初心者の自作スピーカー講座 目次 >>第28回

inserted by FC2 system