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初心者の自作スピーカー講座
第13回
バスレフ型スピーカーを設計しよう
〜その3 (ダクト編)〜

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更新前のページを見る(2011.08.18)

さてさて、今度はダクトの設計です。
ユニットからの最適な放射音(青線)は前回で説明したので、 今回はその低域端をさらに拡張して、緑点線のように重低音域までフラットな特性を目指します。
ダクトとユニットの合成特性


まず、「ダクト断面積」から決めます。
ダクトの断面積は、ダクトから放出される低音の総量と大きな関係があります。

ダクト断面積変化
このように、ダクト断面積を大きくすると緑色点線のような特性に。逆に、ダクト断面積を小さくすると桃色点線のような特性になります。

「じゃあ、ダクトは大きくして大迫力の低音を…」と思う気持ちは分かるのですが、
バスレフ型は、空気の共振を利用して低音を稼いでいるので、無闇に大きなダクトは緩く不自然な低音となってしまいます。

そこで、次の範囲でダクト断面積を定めます。
小口径(8〜12cm)40%〜10%
大口径(16〜20cm)30%〜10%

定説としては、磁気回路が強いほど断面積を大きめにするようです。
そして、断面積が小さいほど密閉型に近くなるので、自然な低音域が得られます。

ちなみに、ユニット単独で重低音が出せる大口径スピーカーであれば、ダクトからはさらに低い音がだせるので、小口径よりずっと重低音再生に有利になります。

この断面積さえ同じであれば、ダクトの形は円でも四角でも何でもOKです。
ただ、潰れたような形は空気抵抗の原因になるので、できるだけ真円か正方形に近い形が良いでしょう。


最後は、「ダクト共振周波数」の設定です。

ダクトが共振する周波数を「fd」「共振周波数」と言います。

この値も加減が重要で、もし低すぎると…
共振周波数が低い
このように、低域にディップが出来てしまい、結果として低音不足に感じてしまいます。

その逆で、共振周波数が高すぎると、
共振周波数が低い
このように、低音が伸びないばかりか、低域のピークが耳障りな音として聴こえてしまいます。


適切な共振周波数は、カタログに示してある「f0 (最低共振周波数)」の値を参考に、
f0 の約1.0〜0.8倍
とすることが多いようです。

例えば、FOSTEXの「FF105WK」の f0 は 75Hz なので、
ダクト共振周波数は、75Hz〜60Hzが適正となります。


そして、
共振周波数
f =ダクト共振周波数(Hz)
S =ダクトの断面積 (cm^2)
V =箱の容量 (L)
l =ダクトの長さ(cm)
r =ダクト半径(cm)

から、タクトの共振周波数を求めることができます。
箱容量V や ダクト半径r(断面積Sから逆算)は、もう説明してありますよね。


以上が、バスレフ設計の基礎です。
あとは、これを箱に収めるだけです。
箱の形状や、ダクトの位置など迷う所も多いかもしれませんが、それらに正解やセオリーはありません。市販スピーカーであっても千差万別なように、それぞれに長所短所があるようです。

バスレフ設計の話は以上になりますが、
以下のような実際の作製例を見ると、より実感が湧くと思います。
[実践編]バスレフ型スピーカーの作製

次回からは、バックロードホーン型スピーカーの設計を説明します。



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