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初心者の自作スピーカー講座
第5回
いろいろなスピーカー箱 〜その2〜

「バスレフ」「ダブルバスレフ」

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前回は、ユニットの前と後ろの音を遮断する事をメインに考えましたが、
今回は、より積極的に後ろから出る音を使って低音増強を考えます。


話は変わって、ビンの口に息を吹きかけると「ボー」っという音が出ますね。
これは、空気の「共振」という現象です。
空気には重さがあり、弾力もあります。『ビンの首にある空気』をオモリ『ビンの本体の空気』をバネと考えると、次のようになります。

(参考:講談社 新装版 世界でただひとつ自分だけの手作りスピーカーをつくる P.45)
この錘(ビン首の空気)とバネ(本体の空気)は、ある一定の速さ(共振周波数)で振動します。これが「ボー」という音の原因なのです。

このビンにスピーカーユニットを取り付けてみると、
左の絵のようになりますね。
この時、息を吹きかけた時と同じように、空気の共振が起こります。
ビンでは「ボー」という、それ程低いくない音ですが、 箱として上手く設計すれば、 この共振を利用してスピーカーの重低音を増強できるのです。
実際にスピーカーにする際は、ビンの首にあたる部分(ダクト)は筒で作り、それを穴の開いた箱に取り付ける形になります。



ただ、このままでは余りにも変な形なので、上でなく、前か後ろの内部に取り付けることになります。
そうすると、左の絵のようになります。
これが、「バスレフ型スピーカー」です。
バスレフ型の利点として、小型でも十分な低音を出す事ができ、簡単に製作できるというのがあります。そんな事から、 ご存知の通り、現在の市販スピーカーの多くでは、この方式が採用されています。


この『バスレフ』を二つ組み合わせれば、さらなる重低音が狙えるのでは?
と考えて作られたのが、「ダブルバスレフ型スピーカー」です。
左の絵にあるように、上側の箱が一段目のバスレフとして機能して低音を、下側の箱も加わってバスレフ動作することで、 超低音をもカバーしようという狙いの箱です。
絵のように、ユニットに比べて非常に大きな箱となるので、一般的にはトールボーイ型 (床に直接置く、背の高い形。別名フロアスタンディング型)として設計されます。
この方式の一番の利点は、先に書いたようにユニット口径からは信じられないような低音を出せる事です。 一方、「バスレフ」は(ユニットでなく空気の勝手な振動である)共振を借りて低域増強をしている事 を忘れてはいけません。『バスレフ型』ならともかく、『ダブルバスレフ』ではユニットの 動きに追従しにくい緩い重低音となってしまいやすい事が欠点としてあげられます。

今回は、「バスレフ型」を説明しました。市販スピーカーにもよく用いられる形式で、癖が少なく豊かな低音が魅力と言えるでしょう。
しかし、自作ならではの箱として、次に紹介する『バックロードホーン方式』があります。



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