スピーカーは「箱」と「ユニット」の2つから構成されます。
市販スピーカーを見ているだけでは考え付きませんが
ユニットだけを箱に入れずに鳴らしてみると、どうなるのでしょうか?
次の絵は、ユニットだけを鳴らした状態です。
前から出る音(青線)と後ろから出る音(赤線)は出会って、打ち消しあってしまいます。
この状態では、特に(音が回り込みやすい)低音が消えてしまいます。
つまり、前の音と後ろの音を遮断する必要があるのです。
では、次の絵のように「ついたて」を立てて、前と後ろを隔離してみましょう。
これが「平面バッフル型スピーカー」です。
もちろん、前後の音を遮断するには、ある程度の大きな板が必要となります。
これが平面バッフルの欠点で、やはり大きくなりすぎてしまいます。
そこで、端を折りたたんでみると、次の絵のようになります。
これが「後面開放型スピーカー」です。
これなら、大きさを節約しつつ前後の音を効果的に遮断できますね。
以上で紹介した「平面バッフル型スピーカー」「後面開放型スピーカー」は、ユニットの後ろに板が無いため
開放的な鳴りっぷりが魅力です。一方、常識的なサイズで製作した場合、低音は限られてしまいます。
今までは、「ついたて」を長くする方法で
前後の音を遮断してきましたが、完全に囲ってしまうと左の絵のようになります。
これが「密閉型スピーカー」です。
後ろの音を、ほぼ完全に遮断できるため低音再生が期待できます。ちなみに、箱を「密閉」してしまっているので、
振動板が前後できるだけの、箱の体積にある程度の余裕が求められます。
この方式の最大の利点は、正確な低音再生です。純粋に『ユニットの振動板が動いた分』だけの低音が放射されるのです。
逆の話、振動板が動いた分『しか』低音は出てこないので、十分な低音量感を確保するにはイコライザー等の電気的な補正
が多くの場合で必要となります。
ここまでは、「ユニット後ろから出る音を遮断して、低音を守る」という目的で進んできました。
しかし、いくら完全に遮断できる「密閉型」でも低音不足になりがちです。
そこで、発想の転換。
ユニット裏から出てくる音を利用して、低音を増強してやればよいのです。
それらに関しては、次回以降で。
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