トップページ >>初心者の自作スピーカー講座 目次 >>第33回 これまで、バスレフ型・バックロードホーン型の説明をしてきましたが、追加として「共鳴管型」の設計を説明します。
ちなみに、この値は「一般的なフルレンジユニット」を想定しています。強力な磁気回路をもっていれば、もっと長い共鳴管を駆動することができます。 しかし、これから書く理由により、共鳴管に使用できるユニットはかなり限られるのです。 これは、TangBandの10cmフルレンジ「W4-927SC」に共鳴管を組み合わせた時の、開口部の周波数特性です。 これは、長さが2.4mの管をU字型に折り曲げたような形の共鳴管の測定結果になります。 計算上の共鳴周波数は35Hzなのですが、むしろその三倍振動の105Hzや、それ以上の高次振動の影響が大きいことが分かります。 このように、共鳴管からは超低域だけでなく中低域の増幅もあるのです。 なので、FW108N(ウーハー)のような元来低音が出やすいユニットとは相性が良くありません。各種ウーハーには、バスレフ型が最適だといえるでしょう。 それでは、FE126EnやFE108EΣのような、強力磁気回路のハイ上がりタイプはどうでしょうか? 残念ながら、これらのユニットではハイ上がりな特性となってしまいます。 共鳴管の低音増強力はバックロードホーンほど強くないのです。さらに、軽量振動板のユニットは共鳴を吸収するように働いてしまい、共鳴管の動作(低音増強)を阻害してしまうのです。 (一方で、割りと引き締まった低音が出てくるので、サブウーハーと併用したり、壁に近づけるなど工夫次第で十分に実用になるようです。) では、どういったユニットなら共鳴管にマッチするのか・・・と言うと、 「振動板が重く、フラットか、ややハイ上がりな周波数特性のユニット。低音はダラ下がり。」です。 共鳴管が動作するには、ユニットがある管端で音波が反射する必要があります。その為には、多少重い振動板が必要なのです。 そして、500Hz付近まで漏れてくる開口部特性とマッチした、ややハイ上がりな特性を持つことも大切です。 低音側がダラ下がり、というのはQts(Q0)が0.6以下であることを示します。Qtsが0.7以上になると超低域の放出量が激減してしまします。 「そんなユニットあるの?」と思う方も多いかもしれませんが、意外と多くあります。 まず、TangBandの小口径フルレンジ群は概して共鳴管とのマッチングがよいと言えます。あとは、PARC Audioの赤パーク系統、FOSTEXのFF-WKシリーズも該当するでしょう。 次回は、より詳しく共鳴管型スピーカーの設計を解説しようと思います。 <<[第32回]へ戻る [第34回]へ進む>> <初心者の自作スピーカー講座 目次へ戻る> <トップページへ戻る> |