スピーカー箱を作るためには、木材を入手する必要があります。
様々な種類の木材があるので、自分にとって適当な種類の木材を選択する必要がありますね。
そして、東急ハンズを利用するにしても、ネットの専門業者を利用するにしても、
木材の相場はある程度把握しておかないと、予算が立てられません。
ここではホームセンターで代表的な、木材の特質・音質、そして値段
(東急ハンズ池袋店 08年2月1日時点)を紹介していきます。
その前に、『3×6 (読み方:サブロク)』という板のサイズについて説明します。
これは、『三尺×六尺』の大きさの事であり『910mm×1820mm』になります。
(大工さんの世界なのか)木材はこのサイズの板が基本となっています。
この大きさの板から、自分に必要な大きさの板を切り出してもらいます。
ちなみに、スピーカーをステレオ(2本)作るためには…
バックロードホーン:2〜4枚
大きめのバスレフ箱:1枚
小さめのバスレフ箱:0.5枚
のサブロク板が必要になるでしょう。
なお、板の厚さは後述しますが、私は12mmや15mmを愛用しています。
『MDF』
市販スピーカーでもお馴染みの材料で、値段も安価です。
ただ、音質はそれほど良くないと言われることもあり、市販SPで使っているのは単に工業製品として量産しやすいからと言われることもあります。正直、私も好きではない板ですね。
また、塗装をするには一工夫が必要です。また、木目が無いので、未塗装ではちょっと素っ気無い外観のように感じます。
価格(東急ハンズ池袋店 08年2月1日時点)
寸法(mm)と厚さ(mm) | 12 | 15 | 18 | 21 | 24 |
1820×910 | 4112 | 5011 | 5637 | 6694 | 7533 |
910×910 | 1994 | 2669 | 3091 | | |
910×600 | 1344 | 1798 | 2089 |
450×600 | 860 | 1072 | 1213 |
450×300 | 495 | 644 | 911 |
225×300 | 234 | 272 | 332 |
『ラワン合板』
「ラワンT2」「ベニヤ」などと言われることもありますが、基本的に同一だと思ってもらって良いです。ベニヤ板というと柔らかくて頼りないイメージですが、15mmなどの厚さになると相当頑丈な木材になります。
スピーカー用途としては、扱いやすく、安価で、SP制作に適した材料といえるでしょう。ただ、表面の見栄えは良くないので、塗装は必須ですね。
寸法(mm)と厚さ(mm) | 12 | 15 | 18 | 21 | 24 |
1820×910 | 5025 | 6738 | 7905 | 9644 | 10406 |
910×910 | 2428 | 3499 | 4181 | 5070 | 5896 |
910×600 | 1593 | 2443 | 2754 | 3386 | 3953 |
910×450 | 1190 | 1849 | 2138 | 2509 | 2868 |
910×300 | 847 | 1223 | 1465 | 1794 | 1942 |
600×450 | 916 | 1180 | 1551 | 1668 |
450×450 | 717 | 959 | 1148 | 1367 |
300×450 | 391 | 570 | 718 | 838 |
300×300 | 327 | 408 | 444 | 528 |
『コンパネ』
『コンクリートパネル』とも呼ばれ、コンクリートを流し込むときに使う合板です。基本的には質の悪いラワン合板だと考えてよいでしょう。
12mm厚の3×6サイズ(1820×910ではなく、1800×900なので注意)で、900〜1500円/枚と非常に安価なので、私は試作品によく使用しています。
なお、板厚は12mm(11.5mm)のものが大半です。
『針葉樹合板』
こちらも建材用合板なのですが、ラワン(広葉樹)ではなく、針葉樹が原材料となっています。
特徴のある木目を持っており、これを上手く模様として作品に生かすこともできるでしょう。やや素材として柔らかめなので、私はあまり使っていません。
『シナ合板』
『ラワン合板』の表面にシナ材を貼ったものでです。
塗装せずとも美しい表面で、工作しやすい材料だと言えますね。ちょっと高価な板ですが、それに見合った仕上がりを得やすい材料なので、オススメの材料だといえます。
音質としてはラワン合板より柔らかめで、響きを大切にした音になると思います。
寸法(mm)と厚さ(mm) | 12 | 15 | 18 | 21 | 24 |
1820×910 | 6845 | 8512 | 10127 | 12018 | 13684 |
910×600 | 2378 | 3136 | 3772 | 4428 | 4935 |
910×450 | 1798 | 2382 | 2901 | 3355 | 3725 |
910×300 | 1234 | 1658 | 1947 | 2283 | 2534 |
『シナ共芯合板』
中も表面もシナで構成された合板です。スピーカー用としては、柔らかすぎるので余り適さないとされています。
他にも高級SP用板として、『シナアピトン』『フィンランドパーチ』『ロシアンバーチ』等もあります。
私のオススメはフィンランドバーチですが、安い木材で数多く作って経験を積んでからでもいいと思います。
また、各種「無垢(ムク)材」も人気があります。
「無垢材」は自然の木材そのままなので、音響的に非常に優れた響きを聴かせます。ただ、合板に比べ反りが多く、工作難易度が高く上級者向けの材料だといえます。
反りの欠点を克服したのが、「集成(シュウセイ)材」です。反りが少なく初心者にも使いやすく、音質も一級品ですが、概して高価(バーチ合板より高い)だといえます。
そんな中でも、建築材料として使われる「1×4(ワンバイフォー)」「2×4(ツーバイフォー)」は無垢材ながら非常に安価だといえます。
「1×4(ワンバイフォー)」は1820mm×88〜89mm×17mmの柱状で、一本200円程度です。反りは激しいですが、上手く使えばスピーカー用途にも使えそうです。
今回は、東急ハンズやホームセンターの値段を載せておきましたが、
お店によって木材の値段はかなり違います。
手頃なお値段の所から、高価でも良質な板だったりサービスが良いところなど、
いろいろ比較してみると良いでしょう。
特に、初心者の自作スピーカーでは「板の切断はしてもらえるか」「10cm以下の小さな切り出しはできるか」「細かな寸法(mm単位)の指定はできるか」「穴あけ(円カット)はお願いできるか」は非常に重要で、
これらに対応していないお店はかなりあるので、十分注意して確認してください。
円カットは、ジグソーなどの簡易的工具で可能ですが、歪みの無い直線のカットはお店の大型機械でしか難しいので、
板を購入する店舗は、カット依頼(大半は木材購入時しか依頼できない)も含めて、慎重に検討することをオススメします。
なお、切断精度に関しては±1 mmで十分ですが、拘る人は下記のネット専門店に依頼すると良いでしょう。
もし、近隣に適当なショップが無ければ、「MAKIZOUクラフト」などのネットショップを利用すると便利ですね。通常のホームセンターより自作スピーカーに詳しく、最適なカットを行ってくれます!
<<[第23回 追記]へ戻る
[第25回]へ進む>>
トップページ
>>初心者の自作スピーカー講座 目次
>>第25回