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初心者の自作スピーカー講座
第23回 追記
BH型スピーカーの簡単設計法



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今まで色々なことを書いてきましたが、バックロードホーン型スピーカーを設計するための簡単な方法を順序良く整理してみましょう。

■ユニットの選定■
当然ながら、話はココから始まります。
磁気回路が大きく、振動板が軽いユニットならOKです。FOSTEX製品のFEシリーズ、FE-EΣシリーズ(FE126EnやFE103Enなど)が好適でしょう。
(同じフルレンジでもTangBandやPRAC Audio製品では難しいと思います。不可能ではありませんが、難易度は高いです。。。)


■スロート断面積■
次は、この項目を決めます。
一般的には60〜90%の作例が多く、それに従えば良いと思います。
選択範囲が広いですが、後述の空気室容量を上手く決めることでどの値でも上手く動作してしまいます。ここの値を小さめ(60%〜70%)に設定すると、箱容量もそれに比例して小さくなるので、ちょっとコンパクトに設計できます♪

■空気室容量■
先のスロート断面積と密接に関係のある項目です。
第15回の説明であったように、次の式で求まるクロスオーバー周波数に合わせて決めます。
fx=10×S0 / Va
fx = クロスオーバー周波数 (Hz) S0 = スロート断面積(cm^2)
Va = 空気室容量(L)

fxが200Hz前後となるのがオススメの容量です。
fxが大きい(250Hzぐらい?)と、高域が穏やかで落ち着いた感じの音。
fxが小さい(150〜170Hz)と、バックロードホーンらしい瞬発力のある音になるものの、やや共鳴音の目立ち始める…といったところでしょうか。



■ホーン広がり率■
第16回・第19回で解説した項目ですが、非常に重要なファクターです。

ホーンの広げ方には公式がありましたが(第16〜19回)、ここではグラフを使います。 広がり曲線<クリックで拡大>

小口径フルレンジでは広がり率は0.8〜0.9程度の値が良いですが、口径の大きなユニットほど適正な値は小さく(0.8〜0.7程度に)なるようです。

上のグラフでは、それぞれの広がり率でのホーン断面積の広がり方を示しています。

例えば、スロート断面積が40[cm^2]で、ホーン広がり率が0.8の場合、
グラフ中の黄色線から、断面積増加率:1.5, 2.2. 3.3, 5.0といった数値が読み取れるので、 スロートから50cmの地点で 40×1.5 = 60[cm^2]
スロートから100cmの地点で 40×2.2 = 88[cm^2]
スロートから150cmの地点で 40×3.3 = 132[cm^2]
スロートから200cmの地点で 40×5.0 = 200[cm^2]
・・・・
というように計算します。

■ホーンの長さ■
1.5m〜3mの範囲で決めましょう。
8cmフルレンジのように小さなユニットの場合は、短め(1.5m)にすることでスピード感のある低音量感を得ることができます。長くても2.2m程度に抑えたほうが良いでしょう。
16cmフルレンジのように磁気回路自体も非常に大きい場合は、2m程度に設定すれば瞬発力に優れた低音が、2.7m程度まで長くすると深々とした重低音を狙うことができます。

ホーンは長すぎもNGです。8cmフルレンジに3mの音道を組み合わせたこともありますが、量感不足だし低音は遅いし…で利なしでした。


次回からは、設計を実際に作成するための準備に入ります。


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