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初心者の自作スピーカー講座
第23回
BH型スピーカーの設計
〜その10 (高音質編)〜

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ここでは、さらなる高音質を目指して設計する場合の要点をまとめます。
ちょっと加工が面倒だったりしますが、慣れてきたらチャレンジしてみましょう。

斜め音道
前回までは、本来曲線であるべきホーンを直管の形として簡略化しました。 もちろん、ホーンを構成する板を曲面にする事はアマチュアではほぼ不可能な領域なので、 このようにホーンを直管で作るのが自作スピーカーでは一般的です。

しかし、できる限り理想に近いホーンを構成するために、板を斜めに接合して、 管に広がりを持たせた作例も存在します。

こちらは以前私が作った作例で、ホーンが内側にある開口部に向かって広がっている音道です。

斜め音道1 斜め音道2
この場合、90°でない接合場所が出てくるのですが、私の場合は特別な加工はせずに、空いた隙間にボンドを多めに塗って空気モレ防止を行っています。
斜め音道2

しかし、この「斜め音道」は、重低音の伸びを阻害する…として嫌われることもあります。ただ、中低域のホーホー感を撃退するには非常に有効な方法ですし、ホーン内部のフラッターエコーの低減にも有効だと私は考えています。


コーナー処理
バックロードホーンの急所は、折り曲げられたコーナー部だといえます。本来はストレートであるべきホーンが折り曲げられたことにより、ホーンが途中で分割されたような動作となって癖のある中低域を生み出すのです。

そこで、コーナー部を滑らかにするような板を追加します。以下の作例はスワン型(オリジナル設計)の作品ですが、全てのコーナー部に45°の角度で板が貼り付けられているのが分かりますね。

コーナー部処理1 コーナー部処理2
この処理の効果は抜群で、中低域のホーホー感を聴感上半分以下に押さえ込めると感じています。
音道がスムーズになった分、中高域のモレも多くなる・・・という話もありますが、それが気になる場合はホーンによる低域増幅が弱い状態なので、私だったらホーン設計から見直しますね。

VW音道

最後は「VW音道」です。
長岡氏のD-37などで知られる「CW(Constan Width)型」に対する言葉として、音工房Zの大山氏が提唱した言葉が「VW(Variable Width)型」です。
CWは音道が縦方向だけに広がるのに対し、VWは音道が縦方向にも横方向にも広がります。通常のCW型ではユニットに近いスロート部は非常に扁平率の高い(平ぺったくなる)状態となり、空気抵抗(?)が増大してしまいます。一方で、VW型ではスロート部が正方形に近く、空気抵抗によるロスが少ないとされています。

作例として、やや大型のバックロードホーンを紹介します。

VW音道1 VW音道2
空気室を出た音道が一度上に上がって、そして降りてきて開口部に到達する…という音道なのですが、その上昇する音道部が『VW型』になっています。
VW型を搭載した結果、スロートの断面は「70mm×70mm」の正方形になり、非常に理想的だといえます。もしCW型だとしたら「150mm×33mm」と非常に扁平率が高い形状となってしまったでしょう。

VW型の効果は非常に大きく、特に100Hz以下の重低音の伸びに影響があります。経験では、CW型に比べて6dB程度の向上があるように感じ、さらに低音のスピード感も格別です。
難点としては、VWを実現するための構造を考えるのが難しいことでしょうか。一例として、先にあげた作例の構造を紹介します。
VW音道3 VW音道4
ちょっと分かりにくいのですが、第一音道を形成する部分に仕切りを入れて狭めているのが分かるでしょうか?



難しい計算式も含めて、色々なことを紹介しましたが、
次回は、それらの要点をまとめてみようと思います。


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