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初心者の自作スピーカー講座
第21回
BH型スピーカーの設計
〜その8 (実践編A)〜

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前回は、大まかな設計をして、各板の間隔を記入しました。
今回は、前回の図面に、細かな(?)補正をして、設計を完了させます。

さて、この図は1/10の縮尺なのですが・・・
今まで書き込んだ、板と板の間隔は正確な縮尺どころか、適当な値になっていますね。 そこで、再び描き直します。
今回は『上から』寸法通り、つまり値通りに描いていきます。とはいっても1/10縮尺なので簡単に描けますね。

そうすると、今度は下が合わなくなっていると思います。
おそらく、ここでは高さが低くなってしまったと思います。
この場合は、
横幅を細くする(限界はありますが・・・)
等の対策ができます。

例えば、
今回の場合は、高さを構成する要素として、
ホーンの高さの合計:3.4+4.0+4.5+5.8+7.4+9.6+12.7+19.5=66.9(cm)
板厚の合計:1.5×7=10.5(cm)
そこで、ここでは全高を90cmとすることを目標としているので・・・
90−10.5=79.5cm
が、ホーンの高さとなればよいので、
79.5÷66.9≒1.18
つまり、横幅を1.18で割ってやれば、適切な高さになります。
ここでは、横幅が18cmだったので、
18÷1.18=15.2cm とすれば良いのです。

ただし、注意点としてユニットが取り付けられるかどうかを確認してください。 FE126Eの取り付け穴は直径104mmなので、板の強度も考えると幅は12cm以上は必要でしょう。 もし、幅が狭すぎれば広がり係数mの値を大きくする事を考えるのですが、 今回は十分この値をクリアしているので、そのまま進めます。

逆に、全高が高すぎる場合もあります。この場合は、
横幅を広くする (これも限界はありますが・・・)
ホーン開口断面積を小さくする(=広がり係数mの値を小さくする)
おそらく、この2つの調整で±10cmは効くと思います。

次は、空気室に注目してみましょう。
設計図6_2
板の厚さが15mmなので、全て足すと
3.4+4.0+4.5+1.5×2=14.9cm
これが、空気室の高さになりますね。
そして、ホーンの横幅は、先程決めたように幅は15.2cmなので、 後は奥行きで空気室の体積が決まります。
第15回でFE126Eには空気室容量2.7〜3.5(L)が適正としたので、とりあえず空気室容量は3Lとすると・・・
3000÷(14.9×15.2)=13.2
必要な奥行きは13.2cmだと、分かりますね。
この長さが5cm以下だと、ユニットが装着できなくなったり、音質的にも良くないとされます。できたら10cm以上の奥行きが望ましいでしょう。
奥行きを伸ばす必要がある場合には・・・
まず、図面を修正します。空気室の奥にあるホーン部分を削る感じで良いはずです。
後は、空気室に小石を詰めて、奥行きが増えたことによる容積増を打ち消す必要があります。

ちなみに、今回は13.2cmと十分な奥行きが確保できたので、その必要はないですね。

こんな感じで、微調整は終了です。
今度は板の間隔を基準として、上の板から縮尺図を描きます。 大きく形が変わった場合は、スロートからの距離が変わってしまっているので、 描き直した縮尺図を使って測り直します。
そして、寸法が適当か、新しく測ったスロートからの距離と板間隔が適当か検討します。

そして、同じ事を繰り返します。 地道ですが、3回目位には適当な値に落ち着いていると思います。一見面倒ですが、ホーンを描くのは意外と楽しいものです。
完全に理想設計とはなりませんが、最初からテキトーな部分(ホーン長さ・広がり係数など)が多いので、 この位アバウトでよいのです。


今回で、BHスピーカー設計の基本は終了です。お疲れ様でした。
次回は、ホーンの設計が正しいかを検証してみます。


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