今回からは、バックロードホーン型(BH型)スピーカーの設計方法を話していきたいと思います。
『第6回』で説明したように、スピーカーにするには長いホーンを折り曲げる必要があります。
そこで、「どのような形に折り曲げるか」が設計のポイントになります。
まず、いろいろなBH型スピーカーを見てみましょう。
最初は一番ポピュラー(?)な形を。
(参考:株式会社音楽之友社 「長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 こんなスピーカー見たことないSupecial Edition[図面集編T]」P.70)
これは、長岡鉄男氏設計の「D-66」という大型バックロードホーンを横から見た形で、
同氏設計の人気機種「D-37」「D-58ES」を始めとした様々な機種で用いられ、人気あるホーンの
取り回し方だと言えるでしょう。ユニットは右上に付きます。
次は、フォステックスの「EΣシリーズ」の設計例に多い形を紹介します。
(参考:FE108EΣ取扱説明書)
これは、ユニットが左上に位置します。ホーン開口がやや高い位置にあるのが特徴ですね。
次は、ちょっとユニークな形で・・・
(参考:株式会社音楽之友社 「長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 こんなスピーカー見たことないSupecial Edition[図面集編T]」P.111 )
スピーカーを前からみた時の音道図です。中央付近に取り付けたユニットを中心にグルグルとホーンを巻いて
段々太くしていくので「スパイラルホーン」と呼ばれる形式です。
ホーンが前後ではなく上下左右に伸びるので大型のバッフルとなりますが、
この方式は全ての折り曲げが「90°」なので、音響的なロスが少なく豊かな低音が期待できます。
特徴的な形から「アンモナイト」という呼び名があります。
さらに、自作ならではのこんな形もあります。
左図は正面から、右図は右側から、それぞれ見た図です。
これは「スワン型」とも呼ばれ、長岡鉄男氏作品を代表するホーンの取り回しだと言えるでしょう。
複雑で立体的なホーンの取り回しにより、点音源への理想へ近づこうとした取り回しです。
以上が音道の折りたたみ方の代表例になりますが、初心者には少し難しいかと思います。
そこで次の形を紹介します。
上に比べると非常に簡単ですね。ここでは、この形を中心に話を進めていきたいと思います。もちろん、
他の形でも基本は同じなので、オリジナルのホーン取り回しを考えるのも楽しいですね。
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