前回は、スピーカーユニットのカタログに書いてある
「規格」を簡単に説明しましたが、
今回は、数あるスピーカー(ここではフルレンジスピーカー)から、
どうやって適切なものを選ぶかを書いていきたいと思います。
ここで、ぜひ理解していただきたいのが、
「ユニット」には得意不得意があり、
不得意を補い、得意とする部分を活かしてやるのが「箱」の役目
なのです。
この講座の『第4回〜第8回』で説明したように、
箱には様々な種類・特徴があります。
ユニットと相性の悪い箱を設計するのは
非常に困難ですし、非効率なのです。
それでは、各方式の箱に適当なユニットの判断基準、
そして、おすすめのユニットをいくつか選んでみました。
平面バッフル/後面開放 |
これらは、高度な低音再生を狙った箱ではないので、あまり型に囚われたユニット選びをしなくて結構です。
8cmフルレンジを使用しても、38cmウーハーを使用しても大丈夫です。ただ、Q0が高く、f0が低い、低音が出やすいユニットの方が好結果につながりそうです。 |
ユニット例:様々なユニット
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密閉 |
Q0の値が0.5〜0.9辺りが適当とされ、またf0が低いほうが低音再生に有利です。
そして、周波数特性がある程度平坦であることが良く、
右肩上がり(高音が強いもの)は余り推奨できません。 |
ユニット例:
ParcAudio DCU-F131W |
バックロードホーン |
Q0が0.4以下で、周波数バランスが右肩上がりの(高音が強い、低音が弱い)ものが適当です。現在ではFOSTEX製品のFEシリーズが相当します。
『バックロードホーン用』として明記されているので、それを目安にするのも良いでしょう。 |
ユニット例:FE103En、
FE126En、
FE108EΣ
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共鳴管/音響迷路 |
概してバックロードホーン用と同じものが使われるようですが、それだと低音不足になります。
充実した低音の伸び・量感を引き出したければ、「バスレフ」と同じものが良いとされています。ただ、ウーハーは向かず、ちょっと低音が出にくいフルレンジを選ぶと良いようです。
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ユニット例:FF105WK、
FF125WK、
TangBand W4-927SC、
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以上がそれぞれの方式に合ったユニットになりますね。
思い描いていたユニットに合う箱、箱に合うユニットは見つかったでしょうか?
次回からは、バスレフ型スピーカーの設計に入ります。
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